パピロウヌーボ 2022


プロ角マキコ(以下プロ角)「……あら?」
優香(以下優香)「いやー、やっぱり広いでやんすね」
プロ角「……えっ、これって……」
優香「しかもなにもかもが新しいもんだから気持ちいいでやんす」
プロ角「……いや、でもそんなはずないわよね」
優香「興奮するぞなもしでやんすね、プロ角ねえさん」
プロ角「……私の身長が170センチだから……」
優香「プロ角ねえさん? ちょっとちょっと、プロ角ねえさん、急にそんな所に寝そべったりして、どうかしたでやんすか?」
プロ角「あ、ううん。なんでもないの。ごめんなさい、急に」
優香「大丈夫でやんすか? びっくりしたでやんすよ。やっぱりあのプロ角ねえさんももうすっかりちんしょぼおじさんなんでやんすね。疲れて急に横になるだなんて。あの脚立を担いでモデル歩きしていた時代がすっかり遠くなってしまったぞなもし……」
プロ角「なんですって、優香!」
優香「ひえー、怒った! プロ角マキコが怒ったぞなもしー!」
プロ角「コラー! 待ちなさい!」
優香「そんなに怒ったらダメですよ、プロ角ねえさん! 大事なのは和譲・恭敬・寛恕でやんすよ!」
プロ角「いいえ、許せるもんですか! 自宅の壁にマネージャーが勝手に落書き、いや、金玉蹴っ飛ばしてやるわよ!」
優香「ないでやんす! 優香に金玉肉袋、ないでやんす!」
プロ角「だったらあんたの代わりにちりとてちんの木曽を義仲してやるわよ!」
優香「夫は関係ないぞなもしよ! ……キャッ!」
 (前方に立っていた人物の背中にぶつかり、尻もちをつく優香)
???「失礼、お怪我はありませんか?」
優香「せいせいせいせいせいせいせいせいせいせい。大丈夫でやんす……」
???「お手をどうぞ」
優香「あ、ありがとうぞなもし……」
???「本当にすみませんでした。現役時代を思い出して、つい外野に来てしまうんです」
優香「外野? ……あっ、あなたは……!」
プロ角「……ハア、ハア、やっと追いついた。優香、なにやってんのよ。それ誰よ? それってどんなりんご?
優香「バ、バッキバキに割れてて、黒光りしてるでやんすよ……」
???「プロ角さん、優香さん、はじめまして! 今日はよろしくお願いします!」
プロ角「あっ、あなたは……!」
 
 (CM)

プロ角「あっ、あなたは……!」
PIGPOSS(以下PIGPOSS)「PIGPOSSです」
プロ角「監督だわ!」
優香「監督でやんす!」
PIGPOSS「PIGPOSSです」
プロ角「豚の?」
優香「シルセスキオキサン(主鎖骨格がSi-O結合からなるシロキサン系の化合物)?」
PIGPOSS「違います。偉大な人物という意味です」
プロ角「……どうして『PIGPOSS』でそうなるのかしら?」
優香「なんだかややこしいことになったでやんすね」
PIGPOSS「そんなことはどうでもいいですよ。さあ気を取り直して、プロ角さん、優香さん、ようこそいらっしゃいました! 今日は小生、PIGPOSSが直々に、この新球場、ペスコンフィールド北海道をご案内します!」
プロ角「えー、すごい!」
優香「それは豪華ぞなもし!」
PIGPOSS「おふたりは、野球はお好きですか?」
プロ角「ぜんぜん!」
優香「ぞなもし!」
PIGPOSS「ぞな……もし?」
プロ角「ねえ、それよりプロ野球選手ってやっぱり性欲が強いんでしょ」
PIGPOSS「……え?」
プロ角「遠征先では毎晩インナーパーティーが開催されるのよね」
優香「どちらもだ! だれもかれもだ! みんなでしよう! でやんすね」
PIGPOSS「……ごめんなさい、おふたりがなにを言ってるのか分からないですね」
プロ角「ねえ優香、ちょっとショーツを見せてやんなさいよ」
優香「えー、私にジョニファー・ロビンになれと言うんでやんすか?」
プロ角「そうしたらきっと、PIGPOSSのずんでるマリントッツォが、レフトスタンドに橋を架けるに違いないわよ。その橋の名は勃起橋
優香「いや、でも人妻なんで、ちょっと問題があるでやんすよ……」
プロ角「大丈夫よ、ムネタカはNTRカムカムエブリバディよ」
優香「夫のそんな性癖オーダーメイド、初めて聞いたでやんす……」
プロ角「ムネタカはムネタカでも、崇高じゃなくて宗隆かもしれないどね! 村神様!」
優香「あちらが勃起すればこちらがED、こちらが勃起すればあちらがEDでやんす……」
PIGPOSS「……僕は、僕はただ、女の子をエロい目で見るのが好きなだけなんだ……」
プロ角「よく白状したわね」
優香「いいんでやんすよ。今は個精と多様精の時代でやんすから」
PIGPOSS「僕の個人的な緊急事態宣言を解除させてください。小生は……、小生はただ、Dなんですよ……」
プロ角「でしょうね。プロ野球選手ですものね」
優香「プロ野球選手と瀬戸大也とタイガー・ウッズはしょうがないぞなもし。誰も悪くないぞなもし」
PIGPOSS「だからいつも敵地に行くときの飛行機が怖くて怖くて……」
優香「ちんこは空を飛ばないでやんすからね。自然の摂理に反してるでやんす」
PIGPOSS「小生にとって飛行機はいつだって、顔パンツを巡る冒険でした」
プロ角「そうだったのね。それでいろいろ迷走して、バリ島で絵を描いたり、3年前くらいに急にプロ野球のトライアウトに参加したり、年金を納めなかったりしたのね」
優香「最後のはプロ角ねえさんでやんす」
プロ角「うるさいわよ、優香。気に入らないね!」
優香「毎年恒例の急なショムニ……」

 (CM)

 (外野から本塁に向かって歩く3人)
プロ角「あ、ところでPIGPOSS、ひとついいかしら」
PIGPOSS「はい、なんでしょう」
プロ角「これは私の気のせいかもしれないんだけど……、いや、でもまさかね。ううん、いいの。とち狂ったって思われたくないもの。なんでもない、忘れて」
PIGPOSS「なんですか、それ」
優香「そうですよ、プロ角ねえさんらしくないぞなもし。思ったことはそのまま口に出す、怒ったらマネージャーに壁に落書きさせる、それがプロ角ねえさんでやんしょ」
プロ角「そうね。そうよね。あれはマネージャーが勝手にやったことだけどもね。でもやっぱり言わせてもらうわ。新しく作った球場でそんなことがあるはずないって思うんだけど、この本塁からバックネットフェンスまでの距離、公認野球規則では60フィート、すなわち18メートル以上が必要とされているのに、見たところ50フィートくらいしかないんじゃないかしら? だとしたら大問題よね。いや、でもそんなはずないわよね」
PIGPOSS「……………………………」
優香「……PIGPOSS?」
PIGPOSS「……………………………」
優香「え、PIGPOSS、どうしたんでやんすか。友達がいない状態でかたまってしまったんでやんすか? それとも帯状疱疹?」
PIGPOSS「小生に……」
優香「ん?」
PIGPOSS「小生に窮屈なくらいでちょうどいいんですよ!」
 (脱兎のごとく走り去るPIGPOSS)
プロ角「…………」
優香「…………」
プロ角「……もしかして私、痛い所をついちゃったのかしら」
優香「……かもしれないでやんすね」
プロ角「…………」
優香「…………」
プロ角「そ、それにしてもさ、優香、PIGPOSSの穿いてたスラックス、見た?」
優香「もちろん見たぞなし。びっくりするほどタイトでやんしたな」
プロ角「下半身の形、丸わかりだったわね」
優香「丸わかりでやんしたね」
プロ角「…………」
優香「…………」
プロ角「すげえでかかったな!
優香「うん、でかかった!

また来年お会いしましょう