仲間内10大ニュース2019


 友達が人とは限らないのではないか。
 大空翼はいった。「ボールは友達」と。「僕の友達はボールであって、だから僕はそれを蹴りたいのであって、ボールのやつを蹴っていいのは僕だけで、僕以外のボールを蹴ろうとするお前らは、蹴ってやろうとも思わない。みんな隅のほうでおとなしく自死しろ」と。
 あんなに大勢のサッカー仲間に恵まれているように見える大空翼でさえ、実はそんなことを思っていたのだ。でもその気持ちが僕にはわかる。僕も大空翼も、思っていることは一緒。友達に死んでほしくないのだ。だから大空翼は無生物であるボールを友達と言い張った。ボールは大空翼が大往生で死んだあとも確実に生き続ける。だから安心して友達にできた。大空翼には、人間の友達が死んだ、哀しい体験があるのだろうか。僕にはない。友達が死んだ哀しみはまだ味わったことがない。それなのにこんなにもそれを忌避している。それは僕の心がとても繊細だからだし、現状あまりにも友達がいないことの言い訳としてこれはとてもいい理屈付けだと思ったのでそういうことにしているからである。
 だから僕も無生物を友達にするのは賛成だ。しかし大空翼と僕とは、ここから先が決定的に違う。どうしたって大空翼はサッカー好きの小学生に過ぎないし、なによりヘディングをたくさんしてしまっているため、思索が足りない。だから真顔で「ボールは友達」とのたまってしまう。無生物を、無生物の名称のまま友達といい張ると、周囲は「えっ」となることにまだ気づいていないのだ。その点、36歳の僕は違う。どうすればいいのか、ちゃんと心得ている。無生物でないものには、無生物でなくないように名前を付けてやればいい。それだけでこの手法は瑕疵のない完璧なものになるのである。
 というわけで今年のランキングです。
 カウントー……(頭が高速回転する)……ダウン!

10位 吉田がほどほどに引き締まった
 運動不足の解消のためにプールで泳ぐようになり、自分の体を鏡で目にする機会が増えた時期、はじめに気になったのは吉田だった。吉田は存在感のないやつで、もっと自分を出していけばいいのに、と思った。それで吉田のために、食べる量を減らしたり、シットアップしたり、けっこう献身的に動いた。その結果、吉田は6つに割れるというほどではないにせよ、それなりに引き締まったように思う。

9位 原口と距離ができた
 食べる量を減らして、糖質とか脂質とかもすごく気にしていた頃、一時的に原口ともかなり疎遠になった。3月の健康診断でγ-GTPの数値を改善したいという願いもあった。その結果はそこまで芳しいものではなかったが、その摂生以来、そこまで原口と毎晩必ず接しなければならないというわけでもなくなった。よかったと思う。原口は百薬の長などともいわれるが、どんなに少なくても飲むより飲まないほうがいいらしい。

8位 根津は相変わらず
 根津との付き合いもだいぶ長いが、そのときどきにブームはあるにせよ、結局は主人公が異様にモテ、やさしくてかわいくてエロい女の子たちが、どこまでも願望を叶えてくれるという基本は変わらず、根津が見せてくれるその世界はどこまでも居心地がいい。妻からは「いい年して」とか「娘も大きくなってきたのに」などと、根津との交際に苦言を呈されることもあるが、これからも関係は切れないだろうと思う。

7位 太田とは落ち着いた付き合いができた
 去年やけに動きのあった太田だったが、今年はだいぶ落ち着いた付き合いができた。「俺と涼花」や「ファン活」などの企画ものにも取り組めたし、毎年恒例の「co大」や「パピロウヌーボ」「パピ労の日報告」などもしっかりとこなせた。ただし太田ごとに偏りがだいぶ出てしまったので、来年は「nw」や「BYAPEN」、そして「僕等は瞳を輝かせ、沢山の話をした」など、ほぼ休眠しているような太田も更新したい。

6位 よく増田のことを考えるようになった
 今年はTwitterを始めたことで、増田のことに思いを馳せる時間が長くなった。毎日1増田ということをなるべく心がけていて、8月から始め、増田以外にも岡田や、Twitterを始まる前にあちこちの太田で詠んでいた増田もあるものの、年末現在の投稿数は190件になっているわけで、まあそこそこ詠んだ。来年は増田の愉しさを他人とも共有できるよう、結社の立ち上げも目論んでいて、今年以上に増田との付き合いは濃厚になりそうだ。

5位 斎藤との付き合いが復活
 斎藤に関して僕は、なにしろ小学生のころ斎藤スクールに通っていたため、それなりに得意だし、好きなのだ。それなのに20年くらい、斎藤との交遊を封印していた。会っても、夏にちょっと屋外で会うくらいだった。それが今年は堰を切ったように、1年を通して斎藤とよく遊んだ。長いブランクのせいで最初は200メートルほどで参っていたのが、最近は1キロも普通にこなしてしまう。一般的な場面で趣味を訊ねられたら斎藤と答えるのがいちばん無難かもしれないと思っている。

4位 水口はなかなか大きくならない
 10位で書いたとおり、最初は吉田を中心に考えていたのだけど、本を読んだり写真を見たりしているうちに、求めるものは吉田よりもむしろ水口なのではないかと思うようになり、今ではもっぱら水口を中心に取り組んでいる。水口のためにダンベルも買ったし、プッシュアップバーも買った。それで日々せっせと励んでいるが、水口はなかなか応えてくれない。まだ交流を始めて半年くらいだもんな。来年のTシャツの時期には、水口が多少でも盛り上がってくれてたらいいなあと期待している。

3位 高坂は相変わらずかわいい
 高坂はあくまで友達だけど、でもその友達に対して僕は劣情を抱いている。でもしょうがないじゃないか。高坂はかわいいのだもの。高坂はおっぱいや尻を中心に、全体的に丸みを帯びてふにふにしていて、特にビキニ姿の高坂を見ていると幸福感に包まれる。さらに高坂が複数集まるともっといい。ただし高坂の人格そのものは面倒くさくてあまり好きじゃない。あくまで体めあての友情。そんな友情の形もあるのだ。

2位 寺井は本当にいいやつ
 寺井は僕にとって大きすぎる存在で、もはや依存しているといっても過言ではない。根津や高坂とワンセットみたいなところがあって、必ず寺井も顔を出してくる。あるいは寺井が根津や高坂を求め、呼び出すのかもしれない。寺井には小さいときと大きいときがあって、どちらの寺井ももちろん愛しいが、やはり真骨頂は大きい寺井だろう。大きい寺井を、ときに激しく、ときに優しく扱うと、どんどん高みへと連れていってくれる。寺井は僕にとって本当に大きな存在だ。

1位 山之辺が愛しい
 いろいろな友達が僕の周りにはいる中で、やはり山之辺の存在が最も大きい。もはや山之辺とは他人のような気がしない。もしかして山之辺とは僕自身なのではないかと思う瞬間さえある。僕の背後には無数の山之辺がいて、僕の前方にも無数の山之辺がいる。今の僕とは、その無数の山之辺のうちのひとりであり、僕とは個としての山之辺ではなく、個が連なって線となった山之辺の一地点なのではないか。僕は友達に死んでほしくない。その点、山之辺は安心だ。なぜなら山之辺が死ぬとき、それは僕自身が死ぬときだからだ。だから僕等山之辺は、僕等山之辺の死で哀しむことは絶対にない。これほどの完璧な友情があるだろうか。

 というわけで、2019年の仲間内10大ニュースでした。
 読んでもらったとおり、この企画、もう行きつくところまで行ってしまった感がある。最初の4年までは、架空の友達の架空の事件を書いていたが、5年目に友達なんかいないことを白状してしまったため、7年目の今年はとうとうこんなことになってしまった。本来の企画意図からはあまりにも逸脱してしまった。もうこうなったら8年目の来年は、逆に初めて、実在の友達の実在の事件でランキングを作成したい。7年間ボケ続けたこのギャグのオチは、もうそれしか残っていない。