瀬田「瀬田です」
小野「小野です」
柳川「柳川です」
三人「三人合わせて……」
三人「友人です」
瀬田「いやー、なんていうの?」
小野「いまさら友人って言うのも若干恥ずいっていうか(笑)」
柳川「そもそも俺は別にお前らと友人じゃねーし(笑)」
瀬田「おい、それはねーだろ」
小野「友人じゃなかったらなんなんだよ」
柳川「いや、俺だってこんなこと言いたくねえけどさ」
小野「なんだよ」
柳川「もう友人とかじゃねえじゃん、俺ら。それ以上じゃん」
瀬田「えっ」
小野「お、おい。恥ずいこと言うんじゃねーよ」
柳川「だから俺だって言いたくねーよ。お前らが言わせたんだろ」
瀬田「へへっ」
小野「へへへ」
柳川「へへへへ」
古賀「ちょっとちょっと、なに男三人で笑ってんの。マジキモイんだけど」
小野「んだよ、見てんじゃねーよ」
柳川「お前には関係ねーだろ」
古賀「はあ? 関係なくないし」
柳川「なんだよ、どういう関係があんだよ」
瀬田「やめろよ」
古賀「瀬田、言っていい? いいでしょ?」
瀬田「だからやめろって」
小野「……っておいおいおい、お前らマジかよ」
柳川「えっえっえっ」
瀬田「(深いため息)」
古賀「かわいい彼女ほっぽって友人と遊んでばっかなんて信じらんない」
小野「おいー、いつからだよー」
瀬田「こないだの土曜」
古賀「もう日付変わってたから日曜だよ」
小野「おいー、夜更かししてんじゃねーよー。不健全だろー」
瀬田「しょうがねーだろ。こいつが急に呼び出してきたんだから」
小野「どこにだよー。聞きてーよ聞きたくねーよ。どっちでもいいよ」
古賀「はあ? 教えないし。って言うかさっきからうるさいんだけど」
小野「なんだよこの女子、急に来て」
古賀「付き合いはじめのカップルに気を使えって言ってんの」
瀬田「よせよ、そういうの」
小野「そうだそうだ。恋人は夜にLINE通話とかでイチャイチャすればいいだろ」
古賀「はあ、マジうっさいんだけど」
小野「おい、柳川。さっきからなに黙ってんだよ。お前も言ってやれよ」
柳川「…………」
瀬田「……柳川?」
柳川「……がが……」
小野「がが?」
柳川「古賀が……、俺の古賀が……」
三人「ひっ」
柳川「よくも俺の古賀をー!」
瀬田「うわっ、よせよ、柳川」
古賀「ちょっと! いつから私があんたのものになったのよ!」
柳川「うるさい! このあばずれめ!」
古賀「なんですって!」
柳川「非処女の古賀なんて古賀じゃない!」
古賀「声がでかいよデブ!」
瀬田「落ち着け! 落ち着けよ柳川」
柳川「これが落ち着いてられっかよ! チクショウ!」
小野「柳川、お前、そうだったのか……」
柳川「どうだったんだよ、古賀の処女は」
古賀「ちょっと! なに訊いてんのよ」
瀬田「普段は気の強い古賀だが、その際には打って変わって気弱な素振りを見せてきて、そのギャップがよかった」
古賀「答えんのかよ!」
柳川「乳首は何色だったんだよ!」
古賀「バカ! デブ! バカ!」
瀬田「痛んだ桃の色」
古賀「表現! たとえの悪さ! って言うか答えんな! ジョノカを侮辱されて怒れ!」
小野「やっぱり古賀みたいに髪が緑色のキャラは、陰毛も緑色なの?」
古賀「お前もか! 彼氏の男友達はみんなバカか!」
瀬田「陰毛は髪の毛よりもだいぶ青みがかった緑だった」
古賀「聞こえてない! 彼女の言葉が彼氏の耳にぜんぜん届かない! つらたん! なんで? しゃべるの速過ぎるの? ゆっくり言えばいいの? 彼氏に合わせるよ。こ・た・え・る・な!」
柳川「それはショーツの中のこもった空気とか、さらにはその前の段階から欲情していてため絶え間なく分泌され続けていたバルトリン腺液で、陰毛が湿ってたということではないかな」
古賀「お前は私のことが好きだったんじゃないのか! お前が好きだったのは私の処女膜か!」
小野「そんで、どうだったんだよ、破瓜の感じは」
古賀「えっ、すごいね。瀬田の友達、すごいね。気になったこと、思ったこと、なんでも口にするんだね。今日は寝坊して学校にデリカシーを持ってくるの忘れたのかな」
瀬田「どうだった、破瓜の感じ」
古賀「えっ、訊いた? 彼氏、私に訊いた? 彼氏の友達の失礼な質問、こっちにそのままトスしてきた?」
瀬田「だって最初のうちはつらそうな顔をしてたのに、だんだんそれが和らいでって、最後のほうは愉悦そのものみたいなだらしない顔してたから、どれが本当なのかなって」
古賀「どれもその時々の本当だよ!」