パピロウヌーボ2019


プロ角マキコ(以下プロ角)「燃えたわ……」
優香(以下優香)「どうしたんでやんすか、プロ角ねえさん。なにをたそがれてるんでやんすか」
プロ角「ああ優香。いや、燃えたなあって」
優香「燃えた? ああ、バレーボールでやんすか。プロ角ねえさんはかつて実業団にいたんでやんすよね」
プロ角「違うわよ、それじゃないわよ」
優香「あ、それじゃあ年金問題でやんすか。当時そこまでネットが普及していなかったでやんすけど、たしかに今だったら大炎上だったでやんしょうね」
プロ角「しつこいわよ! なんなの、なんであんた、毎年のように年金問題と一茂の家の落書きのこと言ってくるの! しつこすぎるでしょ! 逆にあんた、私のことそれくらいしか知らないんじゃないの、もしかして」
優香「参っぜ! バレた!」
プロ角「バレたじゃないわよ! バカにしちゃって。あーあ、本当に嫌。まさか芸能人でなくなった途端、後輩がこんなに舐めて掛かってくるとは思わなかったわ。裏切りよ。こうなるともう、裏切らないのは自分だけね。自分は裏切らない
優香「それよりプロ角ねえさん、一体なにが燃えたんでやんすか」
プロ角「優香、あなたそれ本気で言ってるの? とんちんかんちん、ちんぽこさんなの? わからんちんぽこどもとっちめちんぽこするわよ。分かるでしょ、普通。この場に立ってそう言ったら、燃えたものなんてひとつしかないじゃない」
優香「えっ? なんだろう、バナナでやんすかね」
プロ角「バナナ熱の話じゃないわよ! それにバナナは台湾よ! 沖縄では作ってないわ」
優香「じゃあなんなんでやんすか! 早く言ってくださいよ!」
プロ角「キレた! えっ、なんであんたがキレるの? 情緒どうなってんのよ」
優香「いいから早く」
プロ角「なによ、そのドスのきいた声。優香のくせに」
優香「なにが燃えたんでやんすか」
プロ角「それは……」
?「それ」
?「私たちが」
?「答えても」
?「いいですか」
優香「えっ?」
プロ角「あ、あんたたちは……!」

   (CM)

優香「えっ?」
プロ角「あ、あんたたちは……、太陽とシスコムーン!」
?「ちがいます」
プロ角「プィーボコクスィヅィアスマッスル!」
?「なんて?」
優香「プロ角ねえさん、違いますよ。たしかアルファベットのグループ名ですぞなもし」
?「そうそう」
プロ角「JKちゃん?」
優香「ねえさん、ちがうでやんす。優香わかりますよ。たしか……、そう、friendshipenis!」
?「1文字も入ってない! MもAもXも、見事に入ってない!」
優香「MとAとX? ということは……」
プロ角「ま、まさか……」
4人「MAXです」
プロ角「MAX!」
優香「MAX!」
4人「MAXです」
プロ角「きゃあ! MAXじゃない! うっそ!」
優香「え、どうしたんでやんすか、プロ角ねえさん」
プロ角「私、なにを隠そう、MAXの大ファンなのよ」
優香「えええっ!」
NANA(以下NANA)「ちょっと、えええっ、ってなんですか」
優香「え、いや、だって……。えっ、えっ、ええ?」
LINA(以下LINA)「ちょっと驚きすぎでしょう」
優香「いや、でも、うぇっ、うぇっ、ううぇええ?」
MINA(以下MINA)「さすがに驚きすぎだって」
優香「だけんじょ、そんな、うぇっ、うっ、うええええ」
REINA(以下REINA)「あ、吐いた。ねえ、ちょっと大丈夫?」
優香「ふー、ふー、ふー、はい、すみませんでやんす、大丈夫でやんす」
NANA「よかった」
優香「それでプロ角ねえさん、プロ角ねえさんがMAXファンというのは……?」
プロ角「それがどうしたの? 意外?」
優香「いや、だって、さっき太陽とシスコムーンと間違えてたし……」
プロ角「わざとよ。MAXいじりよ。ファンの間ではつとに有名なやつよ」
優香「そうなんでやんすか……」
LINA「いや、初めてでしたけど」
優香「プロ角姉さん?」
プロ角「まあ、まだ私、ファン活を始めて日が浅いからね、許しなさいよ」
MINA「高圧的……」
プロ角「しかし今年のゲストがMAXとはねえ。嬉しいわ。番組を長くやってるとこんな役得があったりするものなのね。ねえ、友達になりましょうよ」
MAX「はい、ぜひ」
プロ角「やった! フレンドシップイズアカインドオブリビドー! じゃあ早速、この撮影後にみんなでラウワン行きましょうよ」
REINA「ごめんなさい、撮影後はちょっと……」
優香「断られた! どうやらカメラ回ってるときだけの関係性でやんす!」
プロ角「ラウワンに行けなさ……。ひどいわ。この、わからんちんぽこどもとっちめちんぽこ!」
優香「しかしおととしのゲストの破室さんはプロ角姉さんのファンで、そしてプロ角姉さんはMAXのファン……。これはおかしな相関図になってきたでやんすよ」
プロ角「でも思うわ。私みたいな好感度の高いタレントにファン宣言してもらって、MAXは株が上がったことでしょ。そしていまどきMAXのファンを標榜する私もまた、ある種の称賛を得るに違いないわ。つまりこれはウィンウィンだと言えるわね」
MAX「…………」
プロ角「そうよね?」
NANA「は、はい……」
REINA「そ、そうですね……」
MINA「う、うれしいです……」
LINA「よ、よかった……」
優香「こ、ここに勝者はひとりもいないでやんす。沖縄が再び戦場になったでやんす。ちょうど後ろには焼け野原が広がっているし……」
プロ角「そう。そうなのよ。焼けたのよ。ねっ、MAX。焼けたわよね」
NANA「焼けましたね」
優香「だからなにがでやんすか。アグー豚でやんすか?」
REINA「ちがうさあ。豚は焼かずに茹でるさあ」
優香「急に沖縄っぽい! じゃあなんでやんすか? ゴーヤチャンプルーでやんすか?」
プロ角「ちがうさあ。ゴーヤチャンプルーは焼かずに炒めるさあ」
優香「ダウト! プロ角姉さんは山陰出身でやんす! モーレツでもなければ・デジタルネイティブでもなく、山陰出身でやんす!」
プロ角「うるさいわよ! いいじゃないの! それくらい許しなさいよ、このわからんちんぽこどもとっちめちんぽこ!」
優香「つ、使い過ぎでやんすよ……」
プロ角「だって私、ちんこおもしろい主義なんだもの」
優香「だからって大概でやんす……」
MINA「それにしてもピーーーが燃えたのにはびっくりしました」

   (CM)

MINA「それにしても首里城が燃えたのにはびっくりしました」
優香「あっ、ここまで引っ張ってたのにさらっと言うんでやんすね」
LINA「首里城はうちなーの誇りさあ。それが燃えてしまって哀しいさあ」
プロ角「あ、今いいはなシーサーって言った?」
優香「シーサーは言ったけど、いいはなは言ってなかったでやんすよ」
プロ角「でもねMAX。私は首里城が燃えて、こう思ったの。首里城が燃えてしまったら、もう首里城が燃えることはないんだな、って」
MAX「…………」
優香「…………」
プロ角「これでもう、首里城の防火設備の脆弱さを気に病むこともないんだわ。そう、首里城は、友達は、本当は生きてないくらいで、ちょうどいいのよ」
優香「…………」
NANA「たしかにそうかもしれません」
優香「ええっ!」
REINA「プロ角さんの言うとおりかも」
優香「今のわけわかんない話になんで感じ入ってるんでやんすか」
MINA「たしかに本当の首里城なんてないほうがいいのかも。そもそもが実は平成に入ってからの再建だったわけで、別に当時のものがそのまま残ってるわけじゃないし」
優香「ダメ! そんなこと言ったら絶対ダメ!」
LINA「もうここの土地は駐車場とかにしたほうがいいですよね。それなら来月にも出来上がるだろうし」
優香「本当にやるの?
プロ角「そうよ。首里城を観にきた人のための大型の駐車場を、首里城の跡地に作ったらいいんだわ」
優香「……えっ? なんか怖い。もう怖い。なにこれ、安馬夢?」
プロ角「優香。受け入れなさい。あなた、いつまでおどけきれないピエロでいるのよ?」
優香「私が、責められてる、だと……?」
プロ角「そうと決まったら、みんなでビール飲みにいきましょうよ」
NANA「いいですね」

   (CM)

プロ角「いい店ね。ビールはもちろんこれ。サッポロ黒ラベルよ」
REINA「私、これがいちばん好き」
優香「オジー自慢のオリオンビールは」
MINA「この番組はサッポロの提供でお送りしています」
優香「やっぱりサッポロ黒ラベル一択のもんでやんすよね」
LINA「わあ。おいしそう」
プロ角「みんな、グラスにビールは行き渡った?」
NANA「すみません、私は妊娠中なんでソフトドリンクで」
プロ角「あ、そうだったわね。他のみんなはどう」
REINA「大丈夫です」
MINA「早く飲みたーい」
LINA「わあ。おいしそう」
優香「…………」
プロ角「あら、どうしたの、優香。なんでパピコのレモン味なんて持ってるの? CMやったから?」
優香「すみません、最近これしか受けつけないんでやんすよ……」
プロ角「なんで? ビール飲まないの? あ、もしかして肝臓弱ってるおじさん?」
優香「肝臓弱ってもないし、おじさんでもないでやんす」
プロ角「あるいはハイサイおじさん?」
優香「ハイサイでもないし、おじさんでもないでやんす」
プロ角「じゃあなんで? なんで、なんでなんで」
優香「ザ・たっち……」
プロ角「あっ、まさか……!」
優香「そうです。プロ角ねえさん、実は……」
プロ角「言わなくてもいいわ。そう、そういうことだったの。ちりとてちんぽこ、とっちめちんぽこしたのね」
優香「最低……! 最の低……!」
プロ角「でも優香」
優香「なんでやんすか」
プロ角「おめでとう」
優香「プロ角ねえさん……」
   抱擁するMCふたり。
NANA「おめでとうございまーす!」
REINA「よかったね、優香ちゃん」
MINA「なんか感動しちゃった」
LINA「ねえ、ふたりのために唄おうよ」
プロ角「あ、それはいいわ」
優香「気持ちだけ受け取っとくでやんす」
MAX「…………」
プロ角「でもその代わり、この嬉しさを短歌にでもしたい気分だわ」
優香「あ、いいでやんすね。ぜひお願いするでやんす」
プロ角「優香が……」
優香「いきなりの4音」
プロ角「妊娠したって」
優香「あ、7」
プロ角「ゆうから」
優香「4。あ、掛詞でやんすね」
プロ角「ちりとてちんぽこ」
優香「8。どうやらちりとてちんぽこ、だいぶ気に入ったでやんすね」
プロ角「気に入らないね」
優香「7。そしていきなりのショムニ! もう意味わかんないでやんす!」
プロ角「#短歌
優香「あ、Twitterにアップした」
プロ角「あー、バズりたい」

第一部・完